膝・足の症状|豊中市の整形外科|三愛クリニック|内科・リハビリ診療

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膝・足の症状

膝・足の症状|豊中市の整形外科|三愛クリニック|内科・リハビリ診療

膝・足の症状

各部位の疾患

前十字靭帯損傷(断裂)(ぜんじゅうじ じんたいそんしょう)

両手で膝をおさえる男性

前十字靭帯は、膝関節の中心部で大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)をつなぐ、強靭なコラーゲンの繊維束(せんいそく)であり、後十字靭帯と十字に交差して膝関節を支えています。脛骨が前へずれないように機能するとともに、膝関節が滑らかに動くように補助する役割を担っています。この靭帯が損傷、または断裂することを前十字靭帯損傷といいます。スポーツの活動中などに、一度の大きな外傷で発生します。ラグビーや柔道で、選手同士の接触により膝を強くひねったり、バレーボールやバスケットでのジャンプ着地時に強い衝撃を受けたり、サッカーやバスケットでの急な方向転換などが原因で起こります。スキーの転倒などでも多い膝の外傷です。靭帯を損傷すると、動けなくなるほど激しい痛みが生じ、断裂するとそこからの出血が関節内にたまり、腫れが目立つようになります。膝の屈伸も困難になってきます。通常、1か月程度で痛みは引いていき、日常生活に支障がない程度まで改善がみられますが、痛みが引くことと損傷の修復とは関係がなく、断裂すればそのまま状態です。治療をせずに放置してしまうと、歩行障害や膝がガクッと崩れる“膝くずれ”という症状を起こしやすくなります。半月板や軟骨の損傷を招き、変形性膝関節症に発展してしまうこともあります。このようなことがありますので、痛みがなくなったとしても、軽視せずに整形外科できちんと治療することが大切です。また、スポーツに復帰できる程度まで運動機能を回復させたい場合、他の組織(ハムストリングス腱や膝蓋腱)を移植して前十字靭帯を再建する必要があります。再建は低侵襲な関節鏡視下手術によるものであり、手術後は早い段階から可動域・筋肉訓練やリハビリテーションを行います。

後十字靭帯損傷(断裂)(こうじゅうじ じんたいそんしょう)

後十字靭帯は、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)をつなぐ膝関節内の靭帯で、強い強度を有し、前十字靭帯と十字に交差して膝関節を支えています。膝関節のひねる動作を支えたり、脛骨が後ろへずれないように支えたりする働きがあります。この靭帯が損傷、または断裂することを後十字靭帯損傷といいます。後十字靭帯損傷は、膝から下の部分が後方に押し込まれるような強い力がかかったときに発生します。膝を直角に曲げた状態で、地面に強く膝の前面を打ち付けたり、ラグビーのようなコンタクトスポーツで、正面から膝下にタックルを受けたり、交通事故で車が急停車してダッシュボードに膝(脛骨の上端部)がぶつかり強い衝撃を受けたりすることで起こります。損傷すると激しい痛みが起こり、膝の曲げ伸ばしがうまくできないといった可動域制限とともに、膝全体に腫れが生じます。膝裏を押さえると痛みを認めます。また、放置した場合や損傷の仕方によっては、膝関節に不安定性を残すことがあります。損傷の程度や患者様の生活状況によって治療法は異なりますが、強い不安定性のない部分損傷の場合、保存的治療を行うことが一般的です。脛骨が後方にずれないように装具やテーピングで固定し、リハビリで可動域の回復や筋力の増強を行うことで後十字靭帯の機能を補います。一方、完全損傷(断裂)で不安定性が残っている場合は、関節鏡視下手術による再建が行われます。

半月板損傷(はんげつばんそんしょう)

半月板は、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間に存在する軟骨性の板で、左右の膝関節に2枚ずつあります。アルファベットの「C」に似た形状で膝の内側と外側にあり、膝のクッションとして機能し、周辺の関節軟骨を保護する役割を担う他、膝の安定化や脚の屈伸もサポートしています。この半月板が傷ついてしまった状態を半月板損傷といいます。膝をひねったときに大きな力や衝撃が加わると起きやすく、スポーツで、ジャンプしたときの着地に問題があった場合や、サッカーやバスケットボールなどで急な切り返しをしたときによく起こります。ときには、前十字靱帯の損傷に伴って、半月板も一緒に損傷する場合もあります。また、半月板は加齢とともに変性するため、中高年になると急ぎ足や段差を越えたときなど、ちょっとした動作でも損傷することがあります。変形性膝関節症に伴って内側の半月板損傷が起きる場合もあります。半月板を損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかり感が生じます。ひどくなると膝に水がたまって腫れたり、急に膝が動かなくなるロッキングという状態を起こし、激しい痛みで歩けなくなったりすることもあります。一旦損傷すると自然治癒する可能性は低く、放置すると損傷が大きくなり症状が増悪します。治療には保存的治療と手術治療があります。保存的治療ではテーピングやサポーターで患部を固定し抗消炎剤・鎮痛剤などを用いるほか、リハビリを含む運動療法を行います。中高年の変性断裂の場合はヒアルロン酸の関節内注射を行うこともあります。一方、スポーツなどの怪我によって生じた半月板損傷や保存的治療で改善しない場合には、関節鏡を用いた手術治療を行います。手術は損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術があります。

膝離断性骨軟骨炎(しつりだんせいこつ なんこつえん)

膝関節内の軟骨が傷んだり、剥がれ落ちたりする疾患で、成長期の小中学生男児に比較的多くみられます。膝の大腿骨(太ももの骨)の外側よりも内側に発症することが多く、まれに膝蓋骨にも起こります。スポーツなどで繰り返される軟骨へのストレスや強い衝撃によって、軟骨の下の骨に負荷がかかることが原因と考えられています。初期は、運動後に膝の不快感や鈍痛がある程度で他に特異的な症状はなく、痛みがあっても運動はできます。しかし進行して軟骨の表面に亀裂や変性が生じてくると痛みが強く現れ、スポーツなどに支障が出てきます。軟骨が剥がれて軟骨片が関節の中に遊離すると、膝の曲げ伸ばしの際に引っかかり感やズレ感が生じます。大きな軟骨片が遊離すると膝の中でゴリッと音がしたり、関節に挟まると膝がロックして動かなくなったりすることもあります。早期に診断がつけば安静や免荷(荷重をかけないこと)などで自然治癒が期待できますが、軟骨の損傷が進行したり、剥がれたりしてしまうと手術による処置が必要となります。早期に発見して治療することが重要な疾患です。

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

変形性膝関節症は、日本人では比較的女性に多くみられ、高齢になるほど罹患率が高くなります。主な原因は加齢による軟骨の質の低下で、軟骨がすり減ったり、なくなったりして膝の形が変形し、痛みや腫れを生じます。骨折・外傷などの怪我や半月板損傷の後遺症として発症することもあります。また、膝関節には体重の数倍の負荷がかかっているため、肥満も要因の一つになります。初期の症状は、立ち上がりや歩き始めの動作で痛みを生じる程度ですが、進行すると歩行や階段の昇降、膝の屈伸が難しくなり、痛みも増して日常生活に大きな影響がでてきます。膝に水がたまることもあります。初期や軽度の場合、運動療法や薬物療法(鎮痛剤やヒアルロン酸注射)で痛みを軽減し、日常生活を送ることが可能です。膝を温めるホットパックや低周波などの消炎鎮痛療法、膝を安定させるためのサポーターや足底板(足の下の中敷)などの装具療法が有効なこともあります。重度の場合は手術治療を検討します。手術には関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。このような手術を検討する際は、手術後のライフスタイルについて担当医と十分話し合うことが大切です。

ジャンパー膝(膝蓋腱炎:しつがいけんえん)

膝蓋腱炎は、オーバーユース(使いすぎ)に起因する膝のスポーツ障害で、ジャンプ動作を繰り返す競技でよく見られることから、ジャンパー膝とも呼ばれています。バレーボールやバスケットボールなどでジャンプや着地動作を頻繁に繰り返したり、サッカーの蹴る動作やダッシュなど、膝の曲げ伸ばしを頻繁に繰り返したりするスポーツで多くみられます。走ることが多い陸上競技でも起こります。日常的にスポーツを行う10代~30代の若い世代に好発する疾患です。また、スポーツでなくても体が硬い人などで、体力増進のためにランニングや急に走ったり、歩いたりすることで発症することもあります。主に膝前面に痛みが生じ、初期では局所の安静で治りますが、進行すると慢性化して日常生活でも難治性の痛みが出てしまうこともあります。
太ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という大きな筋肉の中には大腿直筋(だいたいちょっきん)という筋肉があります。この大腿直筋は、膝蓋骨(しつがいこつ:膝の皿の部分)を越えて膝蓋腱として膝下の脛骨(けいこつ:すねの骨)につながっています。膝蓋腱炎は、ジャンプ動作や屈折動作を頻繁に繰り返すことで、膝蓋腱に損傷や負担が蓄積して起こると考えられていますが、運動による疲労によって大腿四頭筋の柔軟性が低下することも要因の一つとされています。
基本的に安静、休養が重要となります。痛みや腫れがひどい場合は消炎鎮痛剤や冷湿布を用います。また、大腿四頭筋の柔軟性を改善する目的で、大腿四頭筋を伸ばすストレッチも欠かせません。スポーツを行っている方や学生の方は、練習や試合などもあり、十分に膝蓋腱を休ませることができない場合もあります。しかし膝蓋腱炎が悪化すると腱の炎症だけでなく、腱の一部が切れたり、壊死に至って慢性化したりすることもあります。そうなると、スポーツをする余裕もなくなってしまいますので適切な治療を早めに行いましょう。

足・足関節

捻挫(ねんざ)

捻挫とは、関節に外力がかかり靱帯や腱などの軟部組織や軟骨が損傷することをいいます。X線(レントゲン)検査で、骨折や脱臼などの異常が認められない関節の怪我の多くは、捻挫という診断になります。捻挫は全身のあらゆる関節部位で起こりますが、最も多くみられるのが足関節(足首)です。走っている最中の急な方向転換や転倒、交通事故や段差の昇降時の踏み外しなど、きっかけは様々です。主な症状は、患部の腫れと痛みで、靱帯の損傷が大きいほど強くなる傾向にあります。皮下や関節内に出血や熱感などを伴うこともあります。
典型的な足関節の捻挫は、足首を内側にひねることによって生じる足関節内反捻挫です。足関節の外側(外くるぶしの付近)にある前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)が、引き伸ばされたり、一部が切れたりすることで起こります。靭帯の損傷の程度には1度から3度までの分類があります。1度捻挫(軽症)は、靭帯が伸びたり、ごく一部が断裂したりする程度の損傷で、軽度の腫れと圧痛はありますが、不安定性(関節のぐらつき)はありません。2度捻挫(中等症)は、靭帯の断裂が不完全で関節の不安定性はありませんが、広い範囲の腫れと圧痛があります。3度捻挫(重症)は、靭帯が完全に断裂し、さらに強い腫れと圧痛があり、皮下出血や関節の不安定性がみられます。
1度捻挫および2度捻挫では、「RICE処置※」と呼ばれる応急処理を行います。この処置を行うことで腫れや損傷部位の拡大、内出血などを抑えることができます。3度捻挫ではRICE処置を行い、さらに2~3週間固定することがあります。基本的には手術を行わない保存的治療が選択されますが、不安定性が残存する場合は手術が検討されます。

※RICE処置
Rest(安静)

まず運動を中止して安静を保つようにします。むやみに患部を動かさないようにテーピングなどで患部を固定します。

Ice(冷却)

氷を入れたビニール袋やアイスバックなどをタオルなどで包み、患部を冷却します。

Compression(圧迫)

患部に弾性包帯やテーピングなどを巻いて圧迫ぎみに固定し、腫れや内出血を最小限に抑えます。固定が強すぎると血流障害や神経障害を起こすため、しびれや皮膚・爪の色(青白くないか)を確認しながら行います。

Elevation(挙上)

クッションなどを使って、患部を心臓より高い位置に保ちます。これにより内出血による腫れを防ぐことができます。

捻挫をしたときには、速やかにRICE処置を行い、医療機関で適切な検査や治療を受けることが大切です。

外反母趾(がいはんぼし)

外反母趾とは、足の親指(母趾:ぼし)の付け根が隣の指(第2趾:人差し指)側に屈曲し、母趾の関節が足の内側に突出した状態をいいます。親指が隣の指に向かって20度以上曲がっているものを外反母趾とすることが一般的です。靴との摩擦で突出した部分に腫れや強い痛みが生じるため、靴を履いた歩行に支障を来します。進行すると足裏の第2趾の付け根付近にタコができたり、母趾が第2趾や第3趾(中指)の下に潜り込んで、母趾の付け根の関節が半分脱臼した「亜脱臼」という状態になったりすることもあります。女性に多くみられる疾患です。
原因としてはハイヒールなどの先の細い靴やかかとの高い靴の影響が最も考えられます。関節リウマチの合併症で生じたり、加齢による筋力の低下などによって足のアーチ構造が崩れたりすることも原因になります。また、遺伝的な要因として、足の形や足指間の靭帯・筋肉の緩み(弱さ)による軟部組織のアンバランスなどが考えられます。
治療には保存的治療と手術による根治治療がありますが、多くの場合、保存的治療が選択されます。保存的治療では、足先が細く、ヒールの高い靴を避け、関節の突出部分がこすれない幅広の靴を選ぶといった靴の指導、親指を支えている母趾外転筋という筋肉を鍛える体操や関節を柔らかくするストレッチなどを行います。また、外反母趾を矯正するための装具や足のアーチ構造を守るための足底板などを用いることもあります。
保存的治療を行っても痛みが取れない場合や、変形が改善せず歩行障害を生じている場合には手術による根本的な治療が検討されます。一般的に行われる手術では、母趾のつけ根にある中足骨(ちゅうそつこつ)を切って関節の突出を矯正します。

アキレス腱断裂(あきれすけんだんれつ)

アキレス腱は、足首の後面にある人体の中で最も太い腱で、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいます。アキレス腱断裂とは、その一部(部分断裂)またはすべて(完全断裂)が切れた状態のことです。30~40歳代が受傷の好発年齢ですが、10代から高齢者まで幅広い年齢で起こる可能性があります。テニス、野球、サッカー、バレーボールなどのスポーツ活動中に、踏み込み、ダッシュ、ジャンプ、ターンといった動作で、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋:かたいさんとうきん)が急激に収縮して、アキレス腱に強力な牽引力がかかったり、着地動作などで急に筋肉が伸びたりしたときに断裂が起こります。階段を踏み外したときなど、スポーツ以外の日常動作でも起こることもあります。断裂は、腱の退行性変性(いわゆる老化現象)が基盤にあるとも考えられており、中高年のスポーツ愛好家に受傷が多いという特徴があります。
受傷時には、後ろから「蹴られた」「バットで殴られた」「ボールをぶつけられた」といった衝撃を感じることが多く、「破裂したような音がした」など断裂の音を自覚することもあります。受傷直後は痛みのため受傷肢に体重をかけることができず、転倒したり、しゃがみ込んだりしますが、少し時間がたつと痛みが強くない場合は歩行することができます。歩行が可能な場合でも、ふくらはぎの筋肉がうまく作用しないため、つま先立ちができなくなるのが特徴です。
アキレス腱断裂は、身体所見から比較的容易に診断することができます。アキレス腱部に皮下の陥凹(へこみ)や圧痛がみられます。また、うつ伏せの状態で膝を直角に曲げてふくらはぎを強くつまむと、正常の場合、足関節は足の裏の方向に折曲がりますが(底屈)、アキレス腱が断裂するとこの反応がみられなくなります。多くの場合、通常のX線(レントゲン)検査では異常を認めません。
アキレス腱断裂の治療には、ギプスや装具を用いて治療する保存的治療と、断裂したアキレス腱を直接縫合する手術治療があります。

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